世阿弥
世阿弥像(正法寺蔵)©Public Domain

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世阿弥 ぜあみ (生没年不詳)
室町時代の能役者。大和猿楽四座のひとつ観世座に出た観阿弥・世阿弥父子は、将軍義満・義持らの保護を受け、近江猿楽や田楽能などほかの芸能集団と競いながら洗練された芸の美を追究し、芸術性の高い猿楽能を完成した。観世座が演じる能を観世能、観世座の座長を観世大夫と呼ぶ。世阿弥は足利義教のとき、不興をかって佐渡に流されたが、観阿弥·世阿弥父子は、「砧」「井筒」など、能の脚本である謡曲を数多く書くとともに世阿弥は、能の神髄を述べた『風姿花伝(花伝書)』や『花鏡』などの理論書を残し、能の大成者となった。

世阿弥

幽玄能を大成させた不出世の能役者

義満に愛された「秘すれば花」の心

1374年(文中3・応安7)、京の今熊野で猿楽が興行された。室町幕府三代将軍足利義満の御前で『おさな』を演じたのが、観世座かんぜざ観阿弥かんあみ世阿弥ぜあみの父子だった。義満は観阿弥の至芸と美童世阿弥の可憐な姿に魅せられ熱烈な後援者となり、観阿弥は以後、生涯を通じてあつい庇護を受けることになる。
当時12歳といわれる世阿弥も父に従う。一流の文化人が集まる文化的な環境の中で芸道に精進し、「乞食の所行」と蔑まれた猿楽を、室町時代を代表する芸能に磨き上げていく。

義満に取り入る諸大名にも受け入れられた世阿弥の名声は広がり、盛大な勧進猿楽を開くなど全盛を迎える。世阿弥は、能楽の理論をまとめ、『風姿花伝ふうしかでん(花伝書)』を著した。1422年(応永29)頃、世阿弥は観世大夫の地位を退き、出家した。
しかし、義満のあとの足利義持は能楽より田楽を好み、次第に低迷、世阿弥の甥・音阿弥おんあみ(元重)を贔屓ひいきした六代足利義教の時代になると冷過される。
さらに「子ながらも類なき」と期待した観世元雅かんぜもとまさが死去。追い打ちをかけるように1434年(永享6)、世阿弥は足利義教の怒りに触れ、佐渡に配流となり、不遇の晩年を送った。

初心忘れべからず:著作『花鏡』に記されている、よく耳にする言葉だが、本来は「初心の未熟な芸を、その後の進歩を測る尺度として記憶しておけ」という意味。「慣れ」を戒める意味はない。

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武家社会の成長

室町文化

北山文化

能楽師は、このころ寺社の保護を受けてを結成し、能を演じる専門的な芸術集団が形
されたが、興福寺を本所とする観世座(結崎座)・宝生座(外山座)・金春座(円満井座)・金剛座(坂戸座)の、いわゆる大和猿楽四座はその代表的なものであった。その一つ観世座に出た観阿弥かんあみ(清次、1333〜84)・世阿弥ぜあみ(元清、1363?〜1443?)父子は、将軍義満・義持らの保護を受け、近江猿楽や田楽能などほかの芸能集団と競いながら洗練された芸の美を追究し、芸術性の高い猿楽能を完成した。

以後観世座が演じる能を観世能、観世座の座長を観世大夫と呼んだ。こうして観世座が隆盛を迎えた一方、近江猿楽や田楽能はしだいに衰退し、以後、能といえばほぽ観世能を中心とする大和猿楽の猿楽能のみを指すようになった。世阿弥は足利義教のとき、不興をかって佐渡に流されたが、観阿弥· 世阿弥父子は、「きぬた」「井筒いづつ」など、能の脚本である謡曲ようきょくを数多く書くとともに世阿弥は、能の神髄を述べた『風姿花伝ふうしかでん花伝書かでんしょ)』や『花鏡かきょう』などの理論書を残し、能の大成者となった。また世阿弥の次子元能もとよしが世阿弥の談話を筆録した『申楽談儀さるがくだんぎ』には能楽の歴史や当時の人気能楽師に対する世阿弥の批評などがみえている。

猿楽と田楽

猿楽は滑稽なしぐさや物まねから始まった芸能であり、古代に唐から伝わった散楽さんがくが語源とされている。猿楽能の直接の起源とみられているものの一つに呪師猿楽と呼ばれるものがある。これは寺院での法会ほうえの際に猿楽師が鬼の面などをつけて悪魔払いを行ったもので、そこで用いられた面がのちの能面の原型となったと考えられている。一方、田楽はびんざさらや腰鼓こしづつみなどの楽器を用いた群舞から始まった芸能である。いずれも、曲芸や演劇などさまざまな要素を取り入れながら発達し、やがてそのなかから演劇のかたちをとる猿楽能・田楽能が流行するようになった。

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室町文化一覧表

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