アベラール
アベラールと弟子のエロイーズ(エドモンド・レイトン画)©Public Domain

ピエール・アベラール


ピエール・アベラール( A.D.1079〜A.D.1142)

フランスの哲学者、神学者。スコラ学の普遍論争では「神や普遍は抽象にすぎない」とする唯名論を主張する。「三位一体の教義」にはやや外れたとはいえ、唯名論としては穏健でスコラ哲学の基礎となる。宗教会議で異端宣告を受け、翌年に没する。女弟子エロイーズとの恋愛でも知られる。

ピエール・アベラール

スコラ唯名論学派の創始者

フランスの哲学者、神学者。スコラ学の普遍論争では「神や普遍は抽象にすぎない」とする唯名論を主張する。「三位一体の教義」にはやや外れたとはいえ、唯名論としては穏健でスコラ哲学の基礎となる。宗教会議で異端宣告を受け、翌年に没する。女弟子エロイーズとの恋愛でも知られる。

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女弟子との大恋愛でも知られる

「普遍(神)は思考のなかに存在する」というスコラ哲学の唯名論者だが、20歳年下の美女エロイーズとの恋愛でも有名。教え子と激しい恋に落ちるが彼女の叔父に反対され、2人とも修道士に。彼の死まで、愛とスコラ哲学に関する美しい往復書簡が続いた。

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ヨーロッパ世界の形成と発展

西ヨーロッパの中世文化

学問と大学
中世のスコラ学において最大の課題とされたのが、神や普遍の実在をめぐる実在論と唯名論(名目論)との普遍論争であった。
アンセルムスに代表された実在論(普遍の実在を認める立場)は、「理解せんがために我れ信ず」として理性の上に信仰を置いたが、フランスのピエール・アベラールに代表される唯名論(実在するのは個物であり、普遍は名目にすぎないとする立場)は、「信ぜんがために理解す」として信仰よりも理性が先立つことを主張し、教会から異端視された。トマス・アクィナスは穏やかな実在論の立場をとり、普遍は知性の所産であるとともに実在に対応するとして、信仰と理性の統一をはかった。だが、その後、唯名論が有力となり、フランチェスコ派のヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(1266〜1308)やウィリアム・オブ・オッカム(オッカムのウィリアム)(1290〜1349)により、信仰と理性は調和しないとして両者の区別・分離が主張されるにおよび、スコラ学はしだいに衰退にむかった。

アベラールとエロイーズ

ブルターニュからパリに出て、学者として名声を高めたピエール・アベラール39歳、パリの教会参事会員の姪で才色兼備のエロイーズ17歳、二人は激しく愛し合い、1子をもうけた。だが、エロイーズの後見役であった伯父はこれに怒り、2人の仲を引き裂いたばかりか、アベラールを去勢するという残酷な仕打ちを加えた。その後、2人は別々の修道院で生涯を過ごしたが、2人の間に交わされた往復書簡には人間としての真情が表されている。

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参考 詳説世界史研究

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