ハールーン=アッラシード
ハールーン=アッラシードがカール大帝の派遣団と会う場面( Julius Köckert 画/1864)©Public Domain @WIKIMEDEA COMMONS

ハールーン=アッラシード


ハーディー(アッバース朝カリフ)

アミーン

ハールーン=アッラシード( A.D.763〜A.D.809)

アッバース朝第5代カリフ(在位786年〜809年)。みずからビザンツ遠征し輝かしい成果をおさめ、東西貿易の発展と灌漑農業の拡大によってアッバース朝最盛期を現出。首都バグダードは「世界に並ぶもののない都市」としてその繁栄を謳歌し、『千夜一夜物語』に登場。フランク王国カール大帝などと使節の交換を行った。

ハールーン=アッラシード

アッバース朝を繁栄させた傑出した君主

アッバース朝3代カリフの父と奴隷出身の母との子。アッバース朝5代カリフとなり、在位期間は20数年の長きにわたるが、親政を始めたのは、宰相らを粛清してから。即位17年後のことである。
ハールーン自ら遠征して、東ローマ帝国との戦いに勝利。朝貢させる事を条件に講和した。また、フランク王国のカール大帝やインド王とも使節の交換を行った。産業・貿易に力を注ぎ、化学・芸術を奨励。自ら詩作するなどして文学も開花させた。アッバース朝には黄金期が訪れ、首都バグダットは「世界に比類なき都」と呼ばれた。
ハールーンは、アラビアの物語集『千夜一夜物語』に風流なカリフとして登場することでも有名。

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アラビアンナイト ハールーン=アッラシード
アラビアンナイトのコミック表紙 ©Public Domain

『千夜一夜物語』で語られるカリフ

アッバース朝第5代カリフ。『千夜一夜物語』ではアッバース朝全盛期のカリフとされる。即位から17年後、宰相ヤフヤーとその2人の息子を粛清して親政を開始。ビザンツ遠征で輝かしい成果を収める。しかし、国内情勢は不安定で、衰退の兆しが見えていた。

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イスラーム世界の形成と発展

イスラム王朝 17.イスラーム世界の発展 イスラーム世界の形成と発展
イスラーム世界の形成と発展 ©世界の歴史まっぷ

イスラーム帝国の成立

イスラーム帝国の分裂

一方、東方のアッバース朝では、東西貿易の発展と灌漑農業の拡大によって、ハールーン=アッラシード(786〜809)の時代に黄金時代が訪れた。
9〜10世紀のバグダードは、「世界に並ぶもののない都市」としてその繁栄を謳歌することができた。しかしラシードが没すると、まもなくイランのホラーサーン地方でターヒル朝(821〜873)が独立を宣言し、ついで鍛冶職人(サッファール)から身を起こしたヤークーブは、同じくイラン東部にサッファール朝(867〜903)を樹立した。また、アム川以東の中央アジアでは、イラン系の土着貴族がサーマーン朝(875〜999)を建国し、サッファール朝を破ってホラーサーンの全域を支配した。

ヨーロッパ世界の形成と発展

西ヨーロッパ世界の成立
ヨーロッパ世界の形成と発展 ©世界の歴史まっぷ

西ヨーロッパ世界の成立

カール大帝(シャルルマーニュ)

ローマ教会はカール大帝の西ローマ帝国戴冠を計画した。カール大帝は東ローマ帝国との不和を恐れたものの、広大な領土の統治のためにローマ皇帝の権威も必要であった。レオ3世(ローマ教皇)(795〜816)は反対派の攻撃をカール大帝の保護で乗り切ると、800年、ローマのサン・ピエトロ大聖堂において、カールにローマ皇帝の冠を授与した。ここに、かたちのうえで西ローマ帝国が復活したのである(カールの戴冠)。

まもなく東ローマ帝国との関係が悪化すると、カール大帝はイスラム帝国アッバース朝第5代ハールーン=アッラシードと提携して対抗し、やがて東ローマ帝国もカール大帝の西ローマ帝国皇帝位を承認することになった(812)。

詳説世界史研究

同時代の人物

カール大帝 (742〜814)

フランク王国カロリング朝第2代国王(在位:768年 – 814年)。カロリング朝を開いたピピン3世(小ピピン)の子。フランク王国の最盛期を現出。ローマ教皇より西ローマ皇帝の冠を授けられ(800年カールの戴冠)、フランク王国は東ローマ帝国から独立した。フランス語でシャルルマーニュ、カール1世(シャルル1世)とも呼ぶ。

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