コスモポリタニズム (世界市民主義)

ヘレニズム時代(およそ紀元前323〜紀元前30)に、世界帝国の出現にともなって、従来のポリス世界の枠にとらわれない生き方を理想とする思想。哲学もポリス政治からの逃避と、個人の心の平安の追求を説くようになり、心の平安を得るために克己禁欲こっききんよくを重視するストア派や、精神的快楽(苦しみのない魂の平静の境地)を求めるエピクロス派が盛んになった。コスモポリタニズムに賛同する人々をコスモポリタンとよぶ。

コスモポリタニズム

オリエントと地中海世界

アレクサンドロス大王
オリエントと地中海世界 ©世界の歴史まっぷ

ギリシア世界

ヘレニズム文化

哲学・思想でもポリス的なギリシア人の民族意識が希薄になり、個人主義的な傾向と、民族・国家の粋を意識しない世界市民主義的(コスモポリタン)な風潮が特徴であった。政治から逃避し個人の心の平安とそれを得るための克己禁欲を説くゼノンストア派や、原子論を発展させ、死への恐れを不要とし、感覚に基礎をおく穏やかな快楽に安んじて平静不動を求めるよう口説いたエピクロスとその学派が盛んになった。

ヘレニズム時代の思想

ゼノン(キブロス島出身)エピクロス(サモス島出身)
禁欲主義(ストア派)快楽主義
アパティア
禁欲による理性的境地
アタラクシア
心の平安・精神的快楽が人生の目的
世界市民主義に発展
ポリス的価値観をこえ、普遍的人間性を追求する態度
世間から離れ、心の平静を追求する隠遁的傾向
宇宙は2つの原理からなる
アリストテレスの影響
宇宙は原理からなる
→デモクリトスの影響

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